海外ブロックチェーン情報

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【主婦に朗報】スーパーで牛肉の品質がスマホで確認可能に

スーパーで販売される食品の品質保証を可能にするブロックチェーン

全国の主婦の皆さんに朗報がある。特に成長期のお子さんを育てている主婦の方は、子どもが食べるものについて気にされている方も多いだろう。今回はタイトル通り牛肉の話だが、この話は乳幼児が口にするベビーフード等にも今後広がっていくだろうから、消費者の食に関する安心は新しい次元に到達しようとしている。

今でも牛肉の産地は確認可能だ。例えば牛肉のパッケージに記載されている「個体識別番号」を検索すればある程度の情報は出てくるし、レストラン等でも聞けば識別番号を教えてくれたりする。これは2000年代初めにBSE(狂牛病)の問題があってから法律で定められたもので、牛トレーサビリティ法に基づいた情報の管理、運用が行われているからだ。ちなみにトレーサビリティとはある商品を産地から消費までの過程において特定することである。

しかし今回可能になったのはそんな次元の話ではない。まず情報の信頼度が違う。今までのやり方で消費者の信頼を得られているのだろうか。2015年にも飛騨牛でない牛肉を産地偽装して、飛騨牛として販売していた問題が発覚。また牛の識別番号を表示せずに販売しても、最初は是正勧告がされるだけである。

このような偽装問題は氷山の一角にすぎないだろう。牛の識別番号で検索すれば産地などが分かるといっても、それが本当か嘘か消費者が確かめる方法はない。牛の識別番号をわざわざ1文字ずつスマホに打ち込んでまで、本当かどうかも分からない情報を調べようとあなたは思うだろうか。

これが産地偽装だけであればまだマシだ。でも健康や安全に関わるような事に関しても偽装されているかもしれない。実際、世界で販売されているエクストラヴァージンオリーブオイルの70%は低品質の油などが混ざった偽物であると言われている。

今まで我々消費者は、本当に信頼出来る商品に関する情報を得る術が無かった。企業の言うことを全て鵜呑みにするほか無かったのである。

しかし、もし牛の産地といった情報だけでなく、適切な温度管理が行われていたかどうかや、農家からスーパーまでの全ての流通経路、バクテリア汚染の有無など、品質や安全に関わる情報を全て簡単に、信頼出来る形で得られるとしたらどうだろう。しかもスーパーで販売されている牛肉のパッケージに付いたQRコードをスマホで読み取るだけで、専用のアプリが見やすい形で必要な情報を表示してくれるのだ。

これを可能にしたのが、スイスの企業Ambrosusである。といっても、今回の牛肉に関しては韓国のスーパーでの話だ。日本の企業もAmbrosusと提携し、消費者に安心を提供してくれることを願うばかりだ。

ちなみに今回Ambrosusと提携した韓国の企業は、辛ラーメンでおなじみの農心の子会社、NDS(農心データシステム)だ。

ambrosus.jp

なぜ今までと違って産地を信頼出来るのか?鍵はブロックチェーン

パブリック・ブロックチェーンに記録されたデータは改ざん出来ない

なぜAmbrosusであれば今までのやり方と違って信頼出来るのか?それはブロックチェーンという技術を使っているからである。

多くの主婦の方も聞いたことがあるのではないだろうか。簡単に言えばあのビットコインで有名になった、データの改ざん、変更が出来ないデータベース(台帳)のことだ。

今までのデータベースはその運営主体である企業の持ち物であった。そこに記録されたデータはやろうと思えばいつでも変更出来るし、都合良く改ざんすることだって出来る。

それがブロックチェーンでは出来ないのだ。なぜなら誰もデータベース(ブロックチェーン)を独占していないからだ。世界中の人たちがたった1つのデータベースを保有しているので、自分が持っているデータベースの情報だけ改ざんしても他の人たちに変更が却下されてしまう。そのように情報の正当性を保つことに貢献することで、ビットコインが報酬として貰える。つまりビットコインを貰うための利己的な行動が、データベースの公正さを維持し、結果としてみんなのためになるのである。

Ambrosusも同様にブロックチェーンを利用しているため、牛肉の産地や品質について記録された情報を消費者は信用することが出来る。

もし悪徳業者が始めから嘘の情報を入力しても、一度記録した情報は変更出来ない。つまり一度バレたら不正が全て公になってしまう。後でそのときの状況に応じて都合良く書き換えることが出来ないし、産地などについて偽装するということはその商品の卸先であるスーパーなどの小売店なども裏切ることになる。そういう悪徳業者と知らずに取引してしまっている事が多いのが現状であり、悪徳業者と分かれば他の業者は関わりたくない。つまり消費者を含めて誰でも簡単に情報にアクセス出来る状態で不正を行うということは、不正がバレたら完全にその業者は終わりなのである。

ちなみにブロックチェーンだからといって、なんでも良い訳ではない。例えばIBMのブロックチェーンは完全に企業向けであって、消費者のためのものではないからだ。これはAmbrosusのブロックチェーンとは違って、企業側が結託すれば記録されたデータを変更したり改ざん出来たりしてしまう。先程言ったように仮想通貨を報酬としてシステムに組み込むことによって、一般人がデータベースの信用性を担保する動機が生まれる。IBMのブロックチェーンはプライベート・ブロックチェーンといって、仮想通貨が存在しない。一方Ambrosusでは、仮想通貨AMBを報酬として与えることで企業以外の人たちが分散してデータを保存、信頼性を担保してくれる。

blockchain-potential.hatenablog.com

今後もブロックチェーンによる品質保証は拡大していく。そのうち日本でも?

という訳で、今回可能になったのは韓国のスーパー(メガマート)で販売される牛肉の産地や流通経路、温度管理などの品質に関する信頼出来る情報に、簡単に消費者がアクセス出来るようになったというものである。

さらにAmbrosusは自社でIoTセンサーも開発していて、それらは特定のDNA(例えば豚など)、pH、酵素、水質など様々なパラメータを検知することが出来る。つまり豚を食べられないイスラム教の人たちも、安心して豚が含まれていないことを保証された食品を食べられるようになる。イスラム教はあまり身近に感じないかもしれないが、これはアレルギーや添加物、農薬の含有量などに対しても言えることだ。

ambrosus.jp

主婦の皆さんが安心して食品を買える時代がもうすぐそこまで来ている。

 


 

 

【情弱悲報】IBMのブロックチェーンは情弱企業用と判明

IBM Food Trustを選んでしまうのは情弱企業のみ


 2017年のビットコイン・仮想通貨ブームが相場の下落と共に去っていき、一般人の仮想通貨に対する注目はほとんど無くなっている。

ただ見過ごしてはいけないのは、企業によるブロックチェーンという技術の研究、開発、採用は2018年を通してずっと行われてきたという事だ。もちろん2019年以降もずっと続いていくだろう。

ブロックチェーンって何?という方は、とりあえずここでは「誰かの管理下に置かれることのない信用できるデータベースを皆で共有できる仕組み」とでも考えてもらえば良い。

 仮想「通貨」という言葉が広く浸透しているためか、ブロックチェーンといえばフィンテック分野への応用という文脈で語られることが多い。

実際、ブロックチェーンによって送金の速度やコストは著しく下がる。それは銀行口座が持てない途上国の多くの人々に手軽な価値の交換・保存の手段を与えたり、出稼ぎ労働者が母国にいる家族に給料の一部を送金する場合などを含めて、社会に大きなインパクトを与える可能性の高い分野である。

 ブロックチェーンが採用されるべき最たる分野・サプライチェーン

しかしブロックチェーンにはそれ以外にも一般人に大きなメリットを与える分野がある。

それはいわゆるサプライチェーン管理の分野だ。例えばスーパーで牛肉を買う時を思い出してみよう。普段自炊しないから肉なんて買わないよという人は別にパンでもチョコでもなんでも良い。その商品(この場合牛肉)はどこからそのスーパーにやってきたのだろうか。

場合によって異なるが、牛の生産地から家畜市場へ、そして屠殺・解体のための食肉センター、卸売業者や加工業者を経て、最終的にスーパーやレストラン等の小売店に届いて消費者の元にやってくるという流れが一般的だろう。

この生産地から消費者に届くまでの一連の流れをサプライチェーンと言うわけだが、サプライチェーンでは様々な問題がいつも起こっている。

データの非効率な管理が詐欺を介在させる

ご存知の通り、今までに多くの食品問題が起きてきた。日本でも産地偽装、賞味期限偽装などが頻繁にニュースになっていて、近年アメリカで連続的に起こっているO157の集団感染事件では死人も出ている。消費者の生活、生命に関わる重要なことだ。

市場で売られているエクストラバージン・オリーブオイルの70%は低品質な油が混ざった偽物であると言われているし、蜂蜜なども水で薄められていたり詐欺の多い食品だ。

こういった食品詐欺や偽装、そして感染事件が起きたときの原因特定、リコールを非常に難しくしている原因の1つが、産地から消費者までのサプライチェーン管理が適切に行われていない事だ。いまだに書類でのマニュアルな情報管理が多く、情報の検索、照会、遡及、共有の効率が非常に悪い。つまり、取引先に不正をしているような業者が紛れていても特定するのが非常に難しいということだ。

これは低品質な商品とのすり替え、産地や品質の偽装を行っている不正業者と知らずに取引をしてしまっている企業だけでなく、当然消費者にとっても大問題である。

市場で販売されているエクストラヴァージンオリーブオイルの70パーセントは偽物

ブロックチェーンで効率的なデータ管理が可能に

ではここにブロックチェーンが適用されるとどうなるだろうか。ご存知の方も多いだろうが、(パブリック型の)ブロックチェーンは一度情報が記録されると変更が実質的に出来ない。つまり改ざんが不可能ということだ(パブリック型とプライベート型のブロックチェーンの違いはとても重要なので、後ほど説明する)。

先程も言ったが、今でもあらゆるサプライチェーンにおいて紙でのデータ管理や一貫性のないシステム等、非効率的な状況が蔓延している。産地や入荷元、出荷先、保管時の温度などの様々なデータをブロックチェーンで管理することによって、リコール時の原因特定や管理の適切さなど、非常に正確で迅速なデータ運用が可能になる。

パブリック・ブロックチェーンによって産地や品質がきちんと証明されれば、消費者は安心して食品や薬を買うことが出来るようになる。

よく聞かれるブロックチェーンの勘違い

よく聞かれるのが、そもそもブロックチェーンにデータを記録する時点で嘘の情報を書き込んでいたら意味が無いという意見だ。しかしこの批判は、少なくともサプライチェーンにおけるブロックチェーンの適用においては正しくない。確かに、短期的に見たらそういった不正で少々の利益を得ようとする悪徳業者が介入してくる可能性も無くはない。ただ、パブリック・ブロックチェーンに記録された不正なデータは、後から変更・改ざんが不可能であるためバレた時に取り返しがつかないのだ。いちど不正が公にされると、その業者が詐欺を行っていた商品、詐欺を行ってきた期間、取引先、そういった情報が全て丸わかりになってしまう。その時点でその業者に生きる道はなくなる。

ブロックチェーンに嘘のデータを記録するリスクは非常に大きいのだ。そもそもそういった詐欺業者は、詐欺をする方がまっとうなビジネスをするよりも儲かるから詐欺をするものだ。ブロックチェーンでのデータ管理を新たに適用するのには当然コストがかかる訳だが、わざわざ費用をかけてシステムを導入し、従業員に新しいシステムの使い方や業務の変更点を教育し、その上で一度バレたら終わりのリスクを背負うなど誰がやるだろう。 

ブロックチェーンをサプライチェーン管理に適用したPoC(概念実証)では、今までのデータ管理では1週間ほどかかっていた産地特定がたったの2秒に短縮されたという報告もある。 企業はブロックチェーンでのデータ管理によって業務の効率を大幅に改善することが出来る。

ブロックチェーンの種類

さて少々長くなってしまったがここからが本題だ。本記事の主題「IBMのプライベート・ブロックチェーンを選ぶのは情弱企業」とはどういうことか。それをこれから全て説明する。

まず言っておきたいのが、ブロックチェーンには大きく分けて2種類あるということだ。1つはビットコインでおなじみのパブリック・ブロックチェーン。もう1つは企業の採用に向いている(実際には議論の余地があるが)と言われるプライベート・ブロックチェーンだ。サプライチェーン管理に向いているのはどちらか。それを考える前に、まずはそれぞれについて簡単に説明しよう。

パブリック・ブロックチェーン

こちらはビットコインでもおなじみの、いわゆる仮想通貨トークンを必要とするブロックチェーンだ。誰でも参加することができ(パーミッションレス)、ブロックチェーンに書き込まれたデータの整合性を確かめる作業をする対価として、仮想通貨の報酬をもらえる。

ビットコインのブロックチェーンは誰もが参照することが出来る。例えば2018年1月20日にアドレスAからBに0.3BTC送金された、といった事が誰でもいつでも確認できるということだ。

今までのやり取りをほぼ一定の期間ごとに記録したブロックが全てチェーン上に繋がっていて、そのたった1つのデータベース(台帳)を世界中に散らばったコンピュータ(ノード)が分散的に保持している。全てのノードが同じデータベースを持っていて、ネットワークに貢献することで報酬がもらえるという仕組みが上手く作られているので、嘘の付けない透明なデータ管理が実現できるという訳だ。

しかしこれは見方を変えれば企業がデータ管理に採用しづらいということでもある。取引先にしか知られたくない情報、仕入れ価格、給料の支払いに関してなど、あらゆるデータが誰にでも見られてしまうようなシステムを採用できるはずがない。

企業に使われるかどうかは別としてパブリック・ブロックチェーンにおいて重要なのは、仮想通貨による報酬のメカニズムが存在することで透明で公正なデータベースを構築出来るということだ。

プライベート・ブロックチェーン

一方でプライベート・ブロックチェーンとはどういうものだろうか。こちらは許可型ブロックチェーンとも呼ばれ、誰でも自由に参加することができない閉じたネットワークである。

代表的なのはIBMのブロックチェーンだ。プライベート・ブロックチェーンでは取引(データの記録)の承認に仮想通貨でインセンティブを与える必要がない。つまり仮想通貨は存在しない。

限られたネットワーク参加者間でのみデータの共有が出来れば良いので、それらのノードだけが管理するブロックチェーンだ。一般的に言えば、限られたノードにマシン性能の最低要件を課すことが出来るので、パブリック・ブロックチェーンよりも高速だと言われている。またパブリック・ブロックチェーンではビットコインのようにPoWというコンセンサス・メカニズムが主流だが、多大な電力を消費するため環境にも悪いというパブリック・ブロックチェーン特有のデメリットも存在しない(PoWでなくPoSならパブリック・ブロックチェーンでも電力の消費は問題にならない)。

これはつまり、既存のリレーショナルデータベースの延長線上にあるものだ。企業間でのデータの共有をスムーズにすることが出来るし、1つの企業が代表して管理するデータベースを使わなくても、単一のデータベースを共有することが出来る。

サプライチェーン管理にはどっちのブロックチェーンが適しているか?

サプライチェーンに蔓延している書類によるデータ管理を置き換えるブロックチェーン

それでは企業がサプライチェーン管理に採用するべきはどちらのブロックチェーンなのだろうか。企業としてはデータを自社で安全に管理したいためパブリック・ブロックチェーンを使うのは難しい。しかし取引先や規制当局、認証機関に対して、自社の商品の品質や法律を遵守した管理体制などに関する信用出来る情報共有が可能になるのは大きなメリットである。

となるとプライベート・ブロックチェーンだろうか。しかしプライベート・ブロックチェーンは参加するノードが結託すれば後からいくらでもデータの変更、改ざんが出来てしまう。

今まで企業はさんざん産地偽装などの問題を起こしてきた。消費者からの信用を得るには、パブリック・ブロックチェーンの透明で公正なデータ管理が必要となる。 

企業が採用するべきはハイブリッドなブロックチェーン

結論としては、企業は両者の長所をおさえたブロックチェーンを採用し、消費者からの安心を勝ち取りつつサプライチェーン上のデータ管理の効率性を上げるべきだろう。 

IBMのブロックチェーンは現在、特に食品サプライチェーンに対して「IBM Food Trust」というソリューションを提供している。これは企業が自分で選んだ相手とのみデータを共有可能な仕組みを構築出来る。つまり消費者がデータにアクセスしたりデータの信用性を確かめる手段は無い。

ブロックチェーンの特性を活かして迅速なデータの共有、効率的な管理が可能なのだろうが、IBMの場合はデータ管理の効率性のみに目を向けていると言える。

いくらブロックチェーンで商品の追跡が出来るといっても、企業が管理するデータベースを信用していない世の中の消費者たちには全く響かないだろう。消費者から見た情報の信用性は、現在行われている産地や原材料の表記と何も変わらない。管理コストは下がるかもしれないが、これでは消費者に目新しいアピールが出来ないため売上は上がらない。

現状で唯一の最適解・AMB-NETブロックチェーン

これを解決するのがAMB-NET(アンブネット)というブロックチェーンだ。 IBMのブロックチェーンは一般人がデータを参照することが出来ない代わりに、企業にとっては安心のデータ管理が可能なのかもしれない。

だがAMB-NETでは、企業が公開したくないデータと一般に公開したいデータを自由に設定出来る。もちろんIBMと同様、このデータは限られた相手にだけ公開するという設定も可能だ。つまり、以下の設定が可能なのである。

  • プライベート / 誰にも公開しない
  • セミプライベート / 指定した相手にのみ公開
  • パブリック / 誰でもアクセス、閲覧可能

このため、産地や品質、適切な管理が行われていたか等の情報を消費者に対して公開しながら、仕入れや企業秘密に関わる重要な情報は公開しないといった柔軟なデータ管理が可能になるのだ。

これを実現出来るのはAMB-NETが仮想通貨AMB(アンバー)を報酬メカニズムの触媒としてエコシステムに組み込んでいて、パブリック・ブロックチェーンの長所を最大限活かしているからと言える。

そしてただのパブリック・ブロックチェーンとは違い、データをプライベートにも設定出来る。これはデータを保存するノードとは別に、企業が保存したいデータをブロックチェーンに送信する役割を持つノードが別に存在しているからである。

AMB-NETにはこのように仕事を与えられたノードが大きく分けて3種類ある。一般的にはブロックチェーン・ネットワーク上で特別な役割を果たすノードのことをマスターノードと言うが、AMB-NETには以下の3つのマスターノードが存在する。

  • アトラス / 公開データの保存
  • ヘルメス / データの送信、プライベートなデータの管理

  • アポロ / ブロックの承認、スマートコントラクトの実行 

 簡単に言えば企業はオープンソース(JavaScriptで開発可能)のヘルメス・ノードを自社のシステムに組み込んでデータの管理やブロックチェーンへのデータ送信を行い、その際にデータの量に応じて料金をAMBトークンで支払う。そして支払われた料金を仮想通貨AMBとして得るために、一般人も含めて誰でも運営可能なアトラス・ノードがデータの保存という仕事を担当するという仕組みだ。ちなみに現時点でAMBを購入可能な場所といえば仮想通貨取引所のBinance(バイナンス)が主だが、円やドルなどのいわゆるフィアット通貨から直接AMBトークンを購入出来るゲートウェイも今後利用可能になるので、仮想通貨取引所を使いたくないであろう多くの企業にとって朗報である。

そしてアポロはブロックを正当なものであると承認し、ブロックチェーンにつなげていく。ブロックチェーンの根幹を支える仕事を担うアポロは、限られた参加者しか運営出来ない。ここにもプライベート・ブロックチェーンの長所を取り入れている。つまり、参加にはKYC(身元確認)やSLA契約などが必要で、最低25万枚のAMBを持っていなければならない等、非常に高いハードルが設けられているのだ。参加者が限られているためハードウェアの最低要件を課すことも出来るので、高いパフォーマンスを発揮出来る。

そしてAMB-NETのコンセンサス・メカニズムは大量のマシンパワーや電力を消費するPoWではなく、PoSの派生であるPoAである。そのため環境への影響もプライベート・ブロックチェーンと変わらないと言える。*1

以上のことからAMB-NETはプライベート・ブロックチェーンのメリットを全て網羅しながら、仮想通貨AMBを報酬メカニズムに持つパブリック・ブロックチェーンなのである。このため限られた企業が自由にデータを変更可能という事がないので、消費者は世界中に分散されて保持されている商品に関するデータを信頼することが出来る。

消費者に向けたトレーサビリティも実現

ブロックチェーンを使えば企業はサプライチェーン上における商品の追跡(トレーサビリティ)が非常に迅速かつ容易になる訳だが、IBMのFood Trustとは違いAMB-NETは消費者に対して魅力的なアピールをする事が出来る。

既に韓国の農心の子会社NDSがメガマートというスーパーで販売する牛肉にAMB-NETを使用すると発表している。スーパーに訪れた消費者は牛肉のパッケージに付いたQRコードをスマホで読み取れば、牛の産地からどのような出荷業者、 家畜マーケット、屠殺場、卸売、加工業者を経てきたのかが分かるということだ。それだけでなく、獣医による牛の健康診断情報(バクテリアの汚染等)、輸送過程での適切な温度管理といった情報まで分かるらしい。

農心といえば辛ラーメンでお馴染み、年間売上18.3億ドル(2015年、WIkipediaより)の食品大企業だ。当然IBMのFood Trustも選択肢に上がっていただろう。しかし彼らはAMB-NETを選んだ。今後急激に増していく商品に関する透明な情報を求める消費者からの要求にいち早く対応し、PoCを通して既にAMB-NETの価値を証明したからこそ提携に踏み切ったのだろう。

IoTセンサーとの互換性

raspberry piフレームワーク上に構築されたAmbrosusの第一世代モバイルIoTセンサーハブ

Ambrosus社はIoTセンサーの研究所も所持している。輸送時におけるリアルタイムな情報、例えば温度、湿度、衝撃などを一定時間ごとに検知してブロックチェーンに安全に送信出来るといった機能を持つスマートデバイスを多数開発しているため、様々な企業の要望に応えることが可能だ。

AmbrosusのIoTセンサーによって、DNA、pH、アレルギー源等といった商品内部の情報も検知できる。またスマートシティの基盤になることを見据えているAmbrosusは、空気の質、水質(ヒ素の検出など)、資源の浪費など様々なパラメータを測定可能なIoTセンサーを開発していて、既にいくつかの特許も取得している。

この点もIBMのソリューションと大きく異なる。AMB-NETでは始めから選択肢として、ブロックチェーンに安全に情報を送信可能な多数のAMB-NET互換のIoTセンサーをサプライチェーン上のシステムに組み込むことが可能だ。もちろん必ずしも高度なセンサーを使わなければいけない訳ではなく、比較的単純なQRコード付きのタグを使ったり手動でデータ入力をするのが適している場合もあるだろう。そしてIBMと同様、AMB-NETはSAPのシステムと互換性があり、GS1にも完全に対応している。

この非常に強力な開発力を支えている内の1人が、AmbrosusのCPO(チーフ・プロダクト・オフィサー)のVlad Trifa(ブラッド・トリファ)だ。彼はWikipediaにも載っている通り、IoTのアプリケーション層の定義と実装において中心的な役割を果たしている。IoTのWeb拡張とも言えるWef of Thingsへの黎明期からの貢献で有名な人物だ。 

 企業としても消費者としても魅力的なブロックチェーンはどっち?

 ここまで見てきたように、IBMのFood Trustが提供する機能の中でAMB-NETが実現出来ないものはほとんど無いと言えるだろう。AMB-NETではそれに加えて消費者へのブランドのアピールも可能だ。

またAMB-NETは利用料金も格安である。IBMのFood Trustとは異なり毎月の固定料金などは存在せず、ヘルメス・ノードを通してブロックチェーンに保存したデータの量に応じて料金を支払えば良い。

オープンソースなので自社でシステムを開発・拡張することも出来るし、取引先のIT企業や開発者に外注することも出来る。Ambrosus社は世界最大手のコンサルティングファームPwCやデロイトなどとも話し合いを行っている。今後オープンソースの特性を活かしたDApps(分散型アプリケーション)が次々に開発され、企業として利用可能な選択肢はどんどん広がっていくだろう。

一度新しいシステムをサプライチェーン上に組み込んでしまえば、そう簡単には変えられないはずだ。業界大手だからというだけでIBMを選んでしまうのは情弱企業と言わざるを得ない。

1人の消費者として、どちらが食や薬などの安心を提供してくれるブロックチェーンかは明白だ。思考停止して大手に全てを委ねるのではなく、自ら積極的に新しいソリューションを調査して、消費者に新たな価値を提供してくれる会社が増えて欲しいと思う。

今後も世界の新しいブロックチェーン情報をシェアしていきたい。

Ambrosusに関しては以下のサイトが詳しい。

ambrosus.jp

 

 

*1:PoAとはProof of Authority(プルーフ・オブ・オーソリティ)の略で、選ばれた信頼出来るマスターノード(AMB-NETの場合はアポロ)がブロックの承認を行うモデルである。PoS(Proof of Stake)と同様に、マスターノードになるには一定枚数以上の仮想通貨をロックする必要がある。そのためブロックチェーンを攻撃して仮想通貨の価値を毀損させると自分が損をするように設計されている。